14:「白か…」  誰だろう。犯人は。真剣な面持ちで机を睨む炎山。口元を指でなぞる。カチカチと時 計の秒針が動く。机の上には白い清潔なレースのテーブルクロス。汚れ一つ無い。そし てその上に透明なガラスでできた花瓶があり、赤と白の花が華やかに飾られている。そ の花の名前はなんなのか、熱斗は知らない。キレイだなという感想は持ったが、それが 一体なんの花なのかまで興味は持たなかった。 「光じゃないのか?」 「違うって。信じてくれよ」  息を吐く。一体誰だろうか、この事件の犯人は。炎山は考えた。この部屋にいた人物 に違いない。この部屋に居た人物、炎山と熱斗。しかし、二人は一緒に遊んでいた。ど ちらか一方が抜けることはなかったはず。では、一体誰が消してしまったのだろうか。 炎山が楽しみにしていたアレを。 「だいたい、俺なわけないじゃん。ずっと炎山と一緒に居たのにさあ。しかももう食べ たし」  分かっている。分かっているのだ。だが、誰かを疑わなければいけない。それが犯人 探しの宿命。炎山は疑って悪いなと思いつつも許してくれと謝罪の気持ちも持っていた。 「まあ、また作ればいいじゃん。俺と一緒に。な。大きいやつ。たくさん入れてさ」  熱斗がニコニコ笑いながら言う。そんな笑う熱斗を見て炎山は目を見開き、刹那微笑 む。そして熱斗の意見に賛成する。 「でもさあ、誰がろうね。炎山のパフェ食べたの。楽しみにしてたのに。あの時、俺と 一緒に食べればよかったのに」  あ。炎山のくちから声が漏れる。熱斗がどうしたのと聞くと炎山はくちを手でおさえ る。熱斗から視線をそらし、顔を赤らめる。なんだよ、言えよと熱斗は炎山の肩を掴み、 揺らす。 「俺が熱斗が来る前に食べたかもしれない」  はあ? と熱斗は声をあげて驚き、ばかだなあと笑う。頭を撫で、次は食べたことを 忘れずになと注意する。 「白か…」  熱斗はパフェ作りの準備をする炎山の後ろ姿を見ながら呟く。熱斗は白だった。黒な のは炎山だった。  たまにはこんなのもいいかも。そう思いながら熱斗は炎山の手伝いをしにいく。  無理矢理だよっ。珍しく第三者視点ってやつ? 第一人称っていうのかな、アレだと感情的になっちゃうのよねん。 −−− 一部微妙に書き直しました。まあ、話をつなげるために