21:「あれ、違うの?」 どうしてお前はそう、いつも俺を虐めるのだろうか。 俺がどんな風に傷つき、どんな風に落ち込むのか、知っているだろうに。 どうしてお前はそうやって笑顔でぽつりと俺の心に響くことを言うのだろうか。 「あれ? どうしたんだ、炎山?」 ニコリと俺の様子をうかがう熱斗。 ああ。 人の気持ちが分かっているのか分かっていないのか。 明るいお前が好きだよ。 だけど、その明るさは俺の心をじわじわを崩していくんだ。 俺の心をじわじわ食べ尽くしていくんだ。 それが、どんなに苦しいことか。 そして、それがどんなに嬉しいことか。 矛盾しているんだよ。 俺は嫌いなんだ。 矛盾が。 「ほら、顔をあげろよ」 俺の頬に触れ、顔を持ち上げる。 温かい手だ。俺の手なんて、こんなに冷たいのに。 光が目を見つめてくる。じっと。 やめろ。 そんな目で見ないでくれ。 俺は顔をそらす。 「何、どうしたんだよ。何怒っているんだよ」 光が俺の腕を掴む。力強く。 「痛い!」 光はあ、と呟き手をはなす。俺は勢いよく外へ飛び出す。 ヒグレヤの前の公園に着く。大きなピンクのリスの像。 俺はその頭を撫でる。冷たい。 俺の名前を呼ぶ光の声が聞こえる。 振りかえると大きく手を振って光が走ってきてるのが見えた。 俺はすぐに顔をそらす。 光は俺の後ろに来、肩に手を載せる。顔をのぞきこむ。 「なあ、ごめん。俺が悪かったよ。炎山。 ほっといて日暮さんと盛り上がっちゃってごめん。 なあ、許してくれよ」 俺は光の方を振りかえる。 ギッと睨み、違うと怒鳴る。 光は目を見開き、たじろぐ。 「あれ、違うの?」 苦く笑う光。 どうしてお前はそうやっていつでも笑っていられるんだ。 俺がそれを見て、どう思っていると思っているんだ。 羨ましいんだよ。 その笑顔が。 誰にでも見せる、裏のない笑顔が。 どうしてお前はそう笑っていられるんだ。 どうして俺の心を柔らかくできるんだ。 俺はこんなに無表情で無愛想で。 「ほっといてくれ」 俺はそう言って公園を去る。 どうしてあの時光はあんなこと言ったんだ。 すいません、友達なんですって。  続き。炎山、気にしすぎだって。あはあは。 いつもとは違う風に書いてみましたが……うーん? あたしにはむいてないかも……。見やすいですけどね。