26:「見当もつかないな」 「俺らが飽きることはない。しかも俺らはついている」  そう言っても炎山はパフェを食べるのに夢中。熱斗ははあと溜息をつく。 パフェを食べている時はパフェが一番だ。熱斗は一番になれない。少しパフ ェを恨めしく思う。だが、こんなに嬉しそうにおいしそうにパフェを食べて いる炎山を見るとパフェが有り難く思える。だが、ねたましくも感じる。 「なあ、炎山」  んーと上の空での返事。熱斗はこりゃダメだと思った。だから独り言を言 うことにする。 「俺らさあ、出会ったの、いつだっけ」  記憶が正しければ科学省のペットボトルで作ったPETの発表パーティの 時じゃなかったかなあと言う。それ以前に会っていたかもしれないが、きち んと会話をしたのはアレが初めてだったかもしれない。いや、それよりも前 からちょくちょくと話していたか。そう、確かあの頃の炎山は俺を敵視して いた。倒すべき好敵手。天才少年と言われ続けたエリートネットバトラー、 オフィシャルネットバトラーエースの伊集院炎山をさしおいて俺があらゆる WWW(ワールドスリー)の時間を解決したからだ。  そう、エレキ伯爵のエレキマンを倒してその後ブルースと戦った。それ以 来、少しは仲良くなった。それでそのうち炎山のことを知って、話して、会 って、協力しあって。お互いを大切な仲間とか、思えて。いつの間に仲良く なったんだ。いつの間に仲間と思ってお互い協力して様々な事件を解決する ようになったんだろう。  いつ頃から俺ら、こうやって遊びだしたんだっけ。はは。炎山と会ってま だまだ一年ちょっとしか経ってないよな。嘘みたい。時間の流れ、遅すぎる んじゃない。 「なあ、炎山。俺ら、これからどうなるんだろうなあ」  独り言をその言葉で終わらせる。机の上に載せた手を見る。この手でPE Tを持ち、プラグインし、世界の平和を守ってきた。変な話。  この手で、炎山を触ったり殴ったり慰めたり弄ったり撫でたり。 「見当もつかないな」  急に言葉を発する炎山。熱斗はピクリと反応して顔をあげる。炎山の顔を 見る。炎山もパフェから顔をあげ、熱斗の顔を見る。フンと笑う。 「これから先どうなるか、わからない」  だけど。炎山はそう言うと最後の一口を食べた。 「光のこれまでのことに関しての感想なんかは分かったな」  ニヤリと笑う。熱斗も笑う。 「見当もつかないな」  熱斗は炎山を真似をしながら言った。  16の続きで。炎山と会ったのいつだろう。アイスマンかなあ……うわ、なつかしい。 パラディンソードとエリアスチールとポイズンアヌビス攻めでしたな、あの頃のチップフォルダは。