28:「もうすぐじゃない?」 「もうすぐじゃない?」  ロックマンがPETの中から言う。もうすぐ炎山が来る時間だ。今日は二 人で遊びに行く。というわけではない。炎山を待っているのは熱斗だけじゃ ない。デカオにメイルにやいとも一緒だ。今日は五人で遊びに行くことにな っている。 「やっぱりみんなが好きなパフェを食べにいかなくっちゃね」  メイルが笑顔で言う。熱斗は少しドキリとした。炎山のこと言ってるの? 炎山を気遣っているのか? そう思った。だが、メイルもやいともそしてデ カオもパフェが好きなのだ。だからみんなが好きなパフェは間違っていない。 炎山ほどではないだろうが。 「フフン、今日はわたしのオススメのパフェが食べられる所に連れて行って あげましょうか?」  やいとは得意げに言う。デカオが腕をブンブン振りながらお願いしますと やいとに頼む。メイルはデカオ君ったらと突っ込む。熱斗はそんな三人を見 て笑った。  キキーッ。車のブレーキの音。四人振りかえる。黒い車。ピカピカに光っ ている。このキレイさにこの高級感。間違いない。  ガチャリとドアが開く。黒の靴に迷彩柄ズボン。これは彼しかいない。 「炎山!」  ドアを閉めると車はどこかへ走っていった。炎山は四人の姿を見、フンと 笑う。待たせたなと謝り、熱斗に近づく。 「今日はどこに行くんだ?」  炎山が熱斗に聞く。 「やいとがすっげーうまいパフェ食わせてくれるってさ!」  デカオが答える。そうか、と言って炎山は笑う。嬉しそうな笑顔。そんな 炎山の柔らかな笑顔を見てみんな顔をほころばす。  熱斗はすごいと思った。いつもぶすっとした炎山が笑った瞬間にみんなの 顔がほころぶなんて。すごいチカラを持っている。さすがだなあ。そう思っ て熱斗は炎山の肩にぽんと手を載せる。ニカッと白い歯を見せて笑う。炎山 はそれを見て穏やかに笑む。 「もうすぐじゃない?」  ロックマンがPETの中から言う。もうすぐ炎山が来る時間だ。起きなく ては。あーあ、けっこういい夢だったのに。熱斗は背伸びをする。  いつか炎山とみんなで遊びにいきたいな。その時みんなは炎山を歓迎して くれるだろうか。そして炎山はみんなを受け入れてくれるだろうか。 「熱斗君、今日は何して遊ぶの?」 「そう、だな」  たまには秋原町のあの公園でみんなを誘って遊ぶのも、いいかもな……。 ムリヤリだ、ムリヤリだ落ちが! ぐはぁっ。