穏やかな
抑えきれない欲というものがあるだろう? そいつは突然やってくる。例
え普通に過ごしていたとしても、急にそんな欲望が現れる。その欲望といっ
たらタチが悪い。その欲をはらそうと脳みそはフル回転するんだ。どうやっ
てやろうかとな。時には普段思いつかないようなひらめきがあったりする。 例えば、人をさらうとかな。 ニホンに用があってニホンに居るからといって、会いたいやつに会えるわ けではない。伊集院炎山。そいつに会うためにニホンに来たわけではないが、 せっかく来たのだから一目、お目にかけてやりたい。 用もそろそろ片づきそうだ。このままだと伊集院と会わずに帰国になって しまいそうだ。いくら連絡を取り合っているとはいえ、やはり直に会いたい。 そして、直接話し、直接聞き、直接みたい。間接的というのは便利かもしれ ないが、心を満たすのには少し足りないようだ。 いや。それはオレだけだろうか。オレが満足できないだけだろうか。いい や、まさかな。実物があれなのだ。間接的じゃ物足りなくても当たり前だ。 オレにかぎったことじゃない。 会いたい。会って、話そう。そして、話を聞いてやろう。そして、目に焼 きつけてやろう。シャーロに帰っても鮮明に思い出せるようにな。 そう思う日が数日続いた。何度も何度もそういうことを考えるのだから、 もう会いたくて会いたくてたまらない。どうしてくれるのだ、伊集院。これ では一度会わないと帰れないではないか。 会うだけでいい。会って話すだけでいい。会って触るだけでいい。会って ……。欲はどんどん膨らんでいく。会うだけ? いいや。話さないと。話す だけ? いいや。触らないと。触るだけ? いいや……もっと、もっと楽し いことをしてやろうじゃないか。 そう思った瞬間、頭の中を何かがかけめぐった。発作的にカラダが動いた。 マントを着用し、手袋をしっかりする。帽子を整え、勢いよく部屋を出る。 待ってろ伊集院。覚悟しておけ。 「炎山さま、本日の仕事はこれで終わりです」
画面にブルースが現れ、明日の仕事の予定を伝える。炎山はコクリとうな
ずき、ブルースに明日のことで色々と用事を言う。
「何か用か、ライカ」
炎山はライカに背を向け、逆方向に歩きだした。また変な冗談を。どうせ、
気まぐれできただけだ。まったく。いつも変な冗談ばかりいうのだから。 「炎山」
そう名前を呼ばれ、一瞬チカラが抜けた。刹那、ぐいっと顎をつかまれ、
上へとひかれる。唇に柔らかい感触をおぼえた。離れようにも、圧倒的なチ
カラによって逃げることができない。 「……どうした」 唇がはなされる。ライカの顔を見る。 「ここは、会社だ。人が、たくさんいる。そんなところで今のようなことを するのは、いったいどういうことだ。オレをおとしめたいのか」 ライカがニヤリと笑んだ。炎山は少し、薄気味悪いと思った。
「おとしめる……か。それは、いいかもな。楽しそうだ」 ひょいと担ぎ上げられる。こんなにチカラが強いのか。炎山は驚いた。脚 をジタバタさせるが、なんの抵抗にもなっていない。離せとわめこうにも、 それでは人がやってきてしまう。炎山は抵抗するのをやめる。
「人がたくさんいなければいいのだろう?」 炎山は何も言い返す気になれなかった。 |
目隠しするか?どこかよくわからない場所に連れて行かれるとき、そうき
かれた。悪趣味だな、と返事をすると無視された。そして、目隠しをされた。
選択肢はもとからなかったのか。 目隠しをされたまま、どこかへ連れてこられた。ドアの開く音、閉まる音、 そして、鍵をかける音が聞こえた。しばらくどこかわからない場所の中を歩 かされ、目隠しを外された。暗い密室の中央。物がたくさんある。が、暗くて よくわからない。倉庫か資料室か何かだろうか。
「……なあ、伊集院。話を聞いてくれるか」 ライカは何も答えず、話しはじめた。
「……というわけだ」 頬に、手の感触。ライカの手のひらだ。手袋越しだが、温かさがわかった。
「会いたいと最初に思ったときに、会いにきてほしかったのか」
唇をふさがれる。柔らかい唇を唇全体で感じる。会社での接吻は乾いた唇
だったのに、今はいくらか潤っている。 「そんなに、気持ちいいか?」
ライカが顔を胸からはなし、顔を近づけてくる。間近で見たライカの顔は
紅潮している。オレはライカの頬に触れた。熱い。熱いけれども、オレの顔
の熱さと比べたら、まだまだ冷たい方かもしれない。ライカは唇を重ねてき
た。自分の唾液を押しだすように、オレに唾液を送る。唇から唾液があふれ
でる。 「ライカ……」 ライカは胸から顔をはなし、首筋にキスをおとす。いざ、言おうとすると 恥ずかしくて言葉がのどでつかえた。無意識に手が下腹部へのびる。それに 指があたる。固くなっており、思ったよりも熱い。ズボンごしから、先端を 擦る。 「は……ぁっ……あ……」 ライカは唇にキスをすると、しゃがみこんだ。オレの手首をつかみ、ベル トのバックルを外す。ファスナーをおろし、大きくなったそれを取りだす。 「炎山……熱くなってる……」
ライカは先端を舌でぺろりと舐めた。たまらない刺激が体中をかけめぐる。
思わず、大きな声が出、反り返ってしまう。 「何? どうしてほしいんだ?」
そう言うとライカは先端をくちに含み、くちゅりと音をたてて舌でまわり
を舐めた。熱く、柔らかい舌の感触ががたまらなく気持ちがいいというのに、ライカ
はすぐにくちをはなしてしまう。ライカの唇と自分の先端が唾液の糸で繋が
る。
「……はっ……ラ……イカ、な……舐めてっ……」
ライカはそう言うとオレの手を掴み、握らせた。今にも張り裂けそうなほ
ど膨らんでいる。ライカに舐められた先端は、ぬめりとしていて、からだが
震えた。
「はっ……ああっ……ラ……ライカっ……ライカッ……」 ギュッとライカが根本を握る。体中に電撃が流れたような刺激が走り、ラ イカにしがみつく。荒い呼吸を整えることが、できない。 「ライカのっんんっ! ラ、ラ、ライカのくちで……いかせぇてっ」
欲とはおそろしいものだ。恥ずかしくて、普段絶対に言えないようなこと
を、求める刺激のためだけに言える。恥じらいがないわけではない。しかし、
その恥じらいは興奮を促す。 「はぁっはぁあっあっあっライ、らいかぁっ……!」 運動をはやめ、先端を吸う。自分の分身がドクンとする。いやらしい音を たて、自分のそれを吸うライカを見ていると何がなんだかわからなくなって きた。脚はガタガタと震え、腰は自然に動き、心臓は激しくはたらく。腕は ライカを強く抱きしめ、手はライカの服を強く握る。目には涙がたまり、閉 じることのできない唇からは自分とライカの混じった唾液がたれる。からだ 中から汗が噴き出、皮膚を伝う。 「だ……だめっあっはぁあ、ライカ、だ、だめっ」
でる。体中が震える。バクバクと鳴る心臓の音、粘り気のある音、忙しい
呼吸の音。聞こえるのはそれだけだが、場を高まらせるには申し分ない。も
う、我慢できない。オレは慌ててライカの顔を押さえ、自分のそれを引き抜
いた。刹那、先端から勢いよく白濁の粘液がとびだした。ビクンビクンと分
身は震え、天を突きあげるようにそそりたつ。 「くちの中で出しても、よかったのに」
そう言うとライカは唇についた精液をぺろりと舐め、手についた精液を丹
念にくちの中に含めて拭った。ライカの手が唾液によってなまめかしく光る。 「ほら……楽にしろ」
その言葉が鼓膜を打つと、糸を切られたようにオレはライカに寄りかかり、
座り込んだ。自分の脚で立つことができない。ぎゅっとライカを抱きしめ、
泣いてるような声で呼吸をする。
「気持ちよかったか」 耳元できこえるライカの声は、くすぐったく思えた。 「ライカ」 耳元にくちを寄せる。 「幸せ」
そう言うとライカは力強くオレを抱きしめてくれた。 「すごく幸せ」
瞼がとろんと落ちてきた。 どこが拉致っぽいのか不明ですが……これが裏拉致版でした。 楽しかったです。が、まだまだ未熟だなと思いました。 最高に燃え上がれるようなえっちなシーンがかければいいですね……! 胸への愛撫が難しかったです。 |