永遠


 シャーロの国境近くで紛争発生。その紛争はしだいに大きくなり、戦争に なる。さあ、今こそシャーロの軍事力の強さを見せようではないか。シャー ロは軍隊を戦場へと送った。
 ライカも、その送られた一人だった。彼はネットワーク部隊であったが、 人手不足でかりだされた。思ったよりも、苦戦しているのだ。
 戦場で配給されるものは武器に食料、そして、ダークチップだ。このまま ではシャーロは意外と弱いではないかと他国から思われてしまうからだ。シ ャーロの苦し紛れの選択だった。
 ダークチップをナビに使用する。ナビを電脳世界に送り込み、自軍の本部 を守り、敵軍の本部を攻撃する。
 ダークチップを使えばナビだけでなく、使用したオペレーターにも影響が でる。使うのを嫌がっていたライカだったか、命令されたので使用した。は じめは、どうにかダークチップの影響を受けずにいたが、だんだんと負けて いった。
 軍人は民間人に手をだしたり、仲間を殺してしまったりと、おかしくなっ ていった。その様子をライカは見ていた。
 頭に、炎山の姿がよぎった。
 このままでいいのか、ライカよ。仲間のように戦争におびえる民間人に手 をだし、自分の欲のまま行動するか。共に頑張ってきた仲間を殺してしまう のか。
 ダークチップにのまれて、わけがわからないまま、死んでもいいのか。
 目をつむれば、視界は真っ暗になる。心を見ようとも、心が黒くて見えな い。頭の中には人を殺すか殺されるか、人を犯すかいためつけるか。それば かりが映し出される。
 ダメだ、ここに居ては。無事に帰れない。炎山の言葉を守れないじゃない か。軍人が逃げるのか?軍に逆らうか?戻れなくなるかもしれないぞ?それ でもいいのか、ライカよ?
 自問自答しながらライカは将官たちを見る。彼らもダークチップによって、 わけがわからなくなっている。
 今なら……この状況なら抜け出しても、ばれない。よし、ニホンに行くぞ。 炎山に、会いに行くぞ。会いに行って炎山を……。
 顔を左右に振る。違う。違うだろう。炎山をひどいめにあわせにいくわけ ではないだろう。
 ライカはサーチマンに指示を出し、ニホンへの交通手段を探す。ヘリコプ ターを見つける。見つかったら敵軍に撃ち落とされるかもしれない。が、一 か八かだ。ライカはヘリコプターに乗り込んだ。


 ライカが戦場に行った。やつなら死なないだろう。炎山はそう信じてた。 何をやっても死なないヤツだ、無事に戻ってくるはずだ。そう、信じていた。 信じていたかった。ニュースでシャーロ軍の戦いの様子を見ると、いつも作 業の手をとめて、見入ってしまう。目をこらし、ライカの姿を探してしまう。
 生きているだろうか。胸が苦しかった。

「炎山さま、最近、仕事の能率が悪いですが、大丈夫ですか」

 ブルースが画面に現れる。炎山は苦く笑う。ブルースが映っているところ を指の腹でなぞる。

「……気になって、な」
「ライカ……のこと、ですか」

 そうだ、と炎山は言うと山積みになった書類の上部を指ではさむ。チカラ を抜くと、パラパラと書類がもとに落ちていく。頬杖をつき、書類が重なっ ていくのを眺める。
 ライカは相変わらず髪は緑で、キャベツで、相変わらずの吊り目で。相変 わらずの嫌なやつで、優しいやつだった。
 最期の別れになるかもしれない。そう言って、ライカは炎山のところに来 た。その時の表情を、炎山は覚えていない。怖くて見られなかった。
 ギュっと抱き寄せられた時の圧力。ライカのにおい。ライカの呼吸にライ カの心音。ライカの低い声。
 頭に降ってくるライカの言葉はどれも短く、淡く、重い。胸が押しつぶさ れそうになった。
 震える声と震える声。震える呼吸と震える呼吸。震える唇と震える唇。何 に震えているのか、何故震えているのか。何故、お互い唇を重ねるのか。何 故、お互い相手を強く抱きしめあうのか。
 目尻から落ちそうな涙を、ライカは指で拭ってくれた。炎山はライカの肩 でこぼれそうな涙を拭いた。泣きたくない、絶対泣かない。そう思ったけれ ども、双眸は熱くなり、痛くなるばかりだった。
 それでも、ライカは優しい表情をしていた。作った表情かもしれない。炎 山に心配かけないようにと、努めていたのがひしひしと伝わった。
 わかったら、崩れていくような気がした。抑えていたものが、抑えきれな くなったような気がした。
 とにかく、意味のない言葉をくちからこぼして、ライカに抱きついていた ような気がする。頭が真っ白になって、よく思い出せない。いや、思い出し たくないのかもしれない。
 あの男は、今も戦場で戦っているのだろう。国のために。
 軍人、か。憎いな。
 炎山はブルースを見る。

「いつごろ終わるか、わかるか」
「……厳しいですね。情報が足りません」
「そうか……」

 炎山はため息をつき、机に腕をのせ、その上に頭をのせる。頭はライカの ことでいっぱいだった。

「……炎山様、もう今日はお帰りになられた方がいいのでは?」
「しかし、まだ仕事が……」
「そのご様子でしたら、ほとんど進みません」

 ブルースは画面にグラフを出す。仕事の量と、終わった仕事の割合。仕事 の能率、休憩時間など、様々なデータが出てくる。炎山は微苦笑すると、上 体をおこす。

「そうか……悪いな。ブルース、少し、やっておいてくれないか」
「はっ炎山さま」

 ブルースは画面から消え、もくもくと作業をはじめた。炎山は背伸びをし、 コーヒーを飲む。何杯目だろうか。先ほどいれたコーヒーなので、熱かった。
 仕事場を出、建物を出る。
 外は暗い。風は冷たい。空は曇り空。植物は陰気にささやく。車は……な い。しまった。呼ぶのを忘れてしまった。ここのところ、ずっとそうだ。
 PETを取り出す。

「伊集院!」

 その声に、振り向く。ああ、帰ってきた。生きて、帰ってきた。炎山はラ イカの顔を見る。険しい顔をしたライカがそこにいた。炎山は心配になった。

「ライ……カ?」

 ライカは炎山の胸ぐらを掴み上げる。「ぐっ」と炎山は苦しげな声をあげ、 突然のことに混乱する。いつもなら、冷静に対処できる。だが、ここ最近、 精神的に不安定だったため、冷静になることができなかった。
 ライカはぱっと手をはなす。あごを掴み、強引に唇を奪う。貪るように炎 山のくちの中を舌でいじり、唾液を送り込む。

「はぁ……っ」

 唇を解放される。勢いよく息を吸い、酸素を取り込む。ライカを見あげる。 いつもとは違う。ライカはこんなやつだっただろうか。炎山は目の前のライ カが一体誰だかわからなくなってきた。

「ライ……カ」

 名前を呼んでみる。ライカははっとしたような顔をし、いつもの顔に戻っ た。眉を下げ、炎山の肩を掴む。

「オレ……無意識に。いや、悪かった。カラダが勝手に動くんだ……」
「きっと、疲れているんだ。……おかえり、ライカ」
「ただいま、伊集院」

 ライカはそう言うと炎山の背中に腕をやる。炎山と歩くふりをして後ろに まわりこみ、首もとを攻撃する。ばたりと炎山は倒れた。
 ライカは倒れた炎山を抱え上げ、夜の闇の中へ消えた。

 目を開けると、何も見えなかった。目に違和感があるのは、目隠しをされ ているためか。手を動かそうとすると、縄がそれを邪魔した。後ろで両手首 を縛られているようだ。足首も縛られ、身動きがとれない。
 後ろには壁がある。縛られている中、どうにかカラダを動かしてみるが、 すぐに両肩は壁にぶつかり、足はのばすとつま先が壁についた。狭い。ドア は……どこだ。わからない。ここはいったいどこだ。オレは……何をされる んだ?足をさらに動かすと、何かにあたった。

「……お目覚めか、伊集院」

 ライカの声がした。ライカの足だったのかもしれない。見えないからそれ が確かは判断できなかった。

「ライカかっ!ライカ、そこに居るのか?」
「ああ、居るさ。お前の目の前にな」

 足が当たったのがわかった。推測ではライカが膝をおったのだろう。あご を掴まれる。手袋をはめてないらしく、肌の感触。

「お前をめちゃめちゃにしてやる。ありがたく思うんだな」

 いつもと違う。いつものライカじゃない。じゃあ、これはライカの偽物か? きっと、偽物だ。炎山はそう信じたかった。だが、それはすぐに裏切られた。
 唇を乱暴に押しつけられ、唇を舐められる。濡れた音をわざとたて、舌先 で快感を誘うようになぞる。この動きはライカだ。ライカのするキスは、こ んなキスだ。
 いつもは優しいキスをしてくれるのに、今日は乱暴である。いったい、何 があったのだろうか。顎をあげているのに疲れ、少しずつうつむき加減にな ってくる。すると、ライカは顎をぐいっと持ち上げ、唇をはなす。舌を出し、 唇を下から上へと舐める。

「じっとしてろ」

 顎から手が離されたと思うと、ぐいっと後頭部の髪を引っ張られた。のど 元から低い声が出る。顎が必要以上にあがる。顔にライカの吐息があたり、 また唇を押しつけられる。
 歯列をこじあけようと、舌が上と下の歯の境をいじる。だが、炎山は強く 歯を食いしばり、それを拒んだ。
 ライカは唇をはなし、炎山の耳元に顔を近づける。みみたぶを舐め、耳の 中へと舌を入れる。

「くぅ……っん」

 舌と唾液の冷たさが刺激をほとんど受けない耳に快感を与える。柔らかな 舌の動きは違和感と共に興奮を与える。よくわからない快感に呼吸は荒くな り、くちがゆるく開く。
 そこへライカの指が入ってくる。突然の異物の侵入で、炎山は反射的に指 を甘噛みしてしまう。すると、ライカも炎山の耳たぶを甘く噛んだ。背筋が ゾクリとし、唇から唾液がもれる。
 ライカは指をたんねんに動かし、口内をぐちゅぐちゅとかきまわす。知り 尽くした炎山のくち。敏感なところを刺激する。炎山は吐息とともに声と唾 液をこぼす。
 ライカは指を引き抜き、再度唇を重ね、舌をいれる。異物を拒むチカラを 奪っておいたため、今回は容易に口内へ入った。歯列の裏を舐め回し、上あ ごを擦る。柔らかな粘膜を刺激し、舌を絡める。
 ただ、ただ自分の快楽のために貪る。そんなキスだった。いつものライカ のキスはこんのではなかった。炎山と一緒に気持ちよくなろうと、優しいキ スをしていた。それなのに、今のキスはただひたすら自分の欲をかなえるた めの獣的なキスだった。炎山は嫌悪をおぼえた。同時に、不思議な快感をお ぼえた。
 唇がはなされる。炎山は一気に恐怖のどんぞこへ落とされた。目隠しをさ れており、何も見えない。次の手も、見えない。次は何をされるのか。今の ライカなら、何をしてもおかしくない。カラダが震えた。そして、心の奥底 のどこかで、何をされるか期待している自分がいた。何をされるかわからな いことに恐怖をおぼえ、それを快感と感じ取る自分に戸惑いをおぼえる。

「ライカぁ……っ」

 名前を呼んでみるが、返事はなく。手をのばして抱きしめようにも、手は 動かず。
 思いは通じず、心は空回り。
 なあ、ライカ。戻ってくれ。いつものライカに戻ってくれ。その思いは通 じない。
 服をあげられ、腹から胸までを露出させられる。見えないことにより、見 られているという恥ずかしさが層一層深まる。耳や顔が熱くなっていくのが わかった。
 腹にライカの指が触れられる。カラダがビクンと震える。心臓の動きが、 はやくなる。見えない。何をされるんだ。どうすればいいんだ。
 ライカの指は撫でるように腹の上を滑り、上へとのぼる。指の後を追うよ うに、ライカの舌が腹の上を這う。熱い肌の上を冷たい唾液が走る。カラダ がはね、喉を擦って声が出る。次の行動がわからない。目からの刺激がない。 だからこそ、一つ一つの動きを敏感に感じ取ることができた。それが不幸か 幸いか、わからない。
 撫でるように炎山の上体をさすり、胸元へ行く。舌は胸の突起に達する。 乳輪を舐め回し、乳首をくちに含む。くちの中で転がし、解放し、唇で擦る。

「伊集院……声、出せよ。盛り上がらないだろう」

 そう言うと、ライカは乳首を甘噛みした。炎山は声をあげ、歯をくいしば った。気持ちいい?冗談。痛い。痛みをこらえるための声だ。だが、ライカ は気をよくしたらしく、執拗に乳首を甘く噛む。炎山は痛みにこらえる。
 ライカは口をはなし、炎山の首もとに吸い付く。片手で乳首を刺激し、も う片方で炎山の口内をいじる。
 こんなの、気持ちよくない。例え、からだが快楽を感じたとしても、精神 的には嘔吐を感じる。気持ちが悪い。玩具のようにもてあそばれている自分 を憎み、玩具のように自分をもてあそぶライカに心を痛めた。

「ひゃえぉ……」

 指と荒い呼吸が邪魔をして、正しく発音できない。

「何を言ってるかわからないな」

 そう言うと、ライカは固くなってきた炎山の分身をズボンの上からギュッ と握った。そこから体中に電撃が走り、うわずった声が吐息と混じれてでて きた。

「嫌がっているわりには、カラダはずいぶん喜んでいるようだが?違うか?」

 ライカが指をぬく。炎山は違うと答えた。気にくわなかったのか、ライカ はもう一度炎山の分身を握り、上下に擦った。炎山は身をかがめ、歯を食い しばり、声を殺した。

「これでもか?そんな風に反応しているのに、違うというのか?」
「ち……が……ぁぅっ」
「聞こえないな。もっと大きな声で言えないのか?」

 そう言うとライカはまたくちでの胸の愛撫を再開させ、層一層扱く手を速 まらせた。苦しさと気持ちよさの混じった声が出る。
 ライカは空いた手を胸に持っていく。親指の腹で、乳首の先端を軽く擦る。 炎山の口内を犯していた指は炎山の唾液により、冷たく、刺激を深まらせる。
 くちで犯している胸の方は、唾液で塗るように舌を動かす。舌先を押しつ け、舐め上げ、軽く吸う。気持ちいいという言葉が、甘い声と共に頭をよぎ った。炎山は顔を左右にふり、我に帰ろうとする。

「今の声はなんだ? 気持ちいいんじゃないか?」

 ライカは乳首を解放すると、また炎山の唇を奪う。熱い粘膜を摩擦するよ うに舌を滑らせ、逃げるチカラもなくなった炎山の舌を捕まえ、絡みつき、 吸う。炎山の唇も自分の唇で愛撫する。
 ふっとライカの舌の動きが変わった。深く、深く舌を入れられ、カラダを 強く抱きしめられる。舌をぬかれ、下唇を軽く吸われる。濡れた音が互いの 耳に届いた。隙間のあかぬように唇を密着させ、顔を交差させながら舌を絡 ませあい、吸いあう。炎山はライカの舌の動きに自然と自分の舌もあわせて いた。いつもの優しいキスに戻ったのだ。全身のチカラが抜け、舌にのみ意 識を向けた。
 頭の奥まで痺れるような長いキス。くちゃりという音と共に心臓はドクン と鳴る。目をつむり、ただひたすら感触快感をあじわう。
 唇を離す。お互いの呼吸がお互いの濡れた唇に当たる。どちらも呼吸は忙 しく、熱い。
 そっと炎山の後頭部に手をやられる。目隠しは外され、ライカの顔が見え た。暗闇であまりよく見えないが、間違いなくライカだった。

「ライカ……」

 刹那、頭を押さえつけられた。後頭部が壁に当たる。もう一度ライカを見 てみると、震えがおきた。
 誰だ……貴様は。ライカであったのはほんの一瞬か。ライカの姿を見て炎 山はダークチップの存在を思い出した。
 まさか、戦時中にダークチップを使ったのか? それが影響して、今のよ うなことに?
 炎山は歯を食いしばり、ライカを睨み付けた。ライカはにやりと笑むと炎 山の頭を横の壁にたたきつけた。頬骨が痛い。髪を引っ張られる。

「お前のくちで慣らせ」

 ライカはそういうと今度は逆の方に炎山の頭をたたきつける。炎山は痛み をこらえる。ベルトのバックルを外し、チャックをおろす。ライカはもう一 度炎山の髪を掴み、下着の中で固くなったそれを顔に押しつけた。

「くちで取り出して、やれ」

 炎山は顔をそらした。ライカはさらに髪を引っ張る。

「オレの言っていることが理解できないのか?」
「誰が貴様みたいな汚らわしいやつのモノをくちに含むか」

 ライカは乱暴に手をはなす。そして、片手で炎山の首をしめた。

「ぐっ……」
「ほう、今になってそんなこというのか?今までに何度、お前はこれをしゃ ぶった?何度、汚らわしい行為をやってきた。何を今さらそんなことを言っ ている」

 ライカの手にチカラが入る。苦しい。涙が、目にたまってくる。

「……ふん。頑固だな」

 ライカはそう言うと自分のを自分で取り出す。そして、炎山のくちに押し つけた。炎山は歯をくいしばり、それが口内へ侵入するのを防いだ。ライカ はそのままそれを歯に擦りつける。

「炎山……」

 その言葉に、ふっとチカラがゆるむ。刹那、それを押し入れられる。噛み きってやろうかと思ったが、やめた。
 後頭部を掴まれ、固定される。ライカは腰を動かし、炎山の口内を抜き差 しする。
 気持ちが悪い。気持ちが悪い。気持ちが悪い。
 何度も心の中で言った。どうしてこんなに気持ちが悪いのか。どうしてこ んなに悲しいのか。ライカのそれが抜かれたと思えば、頬を拳で殴られた。 頭が壁にぶつかる。
 また髪の毛を引っ張られる。ライカの顔が目前にある。ギッと鋭い目。炎 山は目を見開き、強くつむった。
 涙が自然と頬をつたった。

「真面目にやれ。殺すぞ」

 ライカはそう言うと拳銃を取り出し、炎山のこめかみにあてた。冷たい。 炎山はゴクリと唾を飲み込む。
 このまま死のうか。
 しかし、こんな死に方は屈辱過ぎる。天才オフィシャルネットバトラー伊 集院炎山、軍人に犯された後、射殺。なんとも醜い散り方。ここで死んでた まるか。ライカが元に戻ったとき、うんとこらしめてやる。

「まだ、死ぬわけにはいかない」

 炎山はそう言うとライカのそれを吸うように、先端を口に含んだ。丁寧に、 繊細に舌を動かす。ライカの分身が固く、大きくなるのがわかった。
 ふん。後悔させてやる。オレをこんな目に遭わせたことを、後悔させてや る。
 その思いが原動力となり、炎山はひたすらくちでの愛撫に専念した。
 わざと音をたてて先端を吸う。先端に唇をあて、舌を出す。舌でなで回し、 裏筋へと這う。ライカの分身の側面を唇で這い、舌でなぞる。
 たまりかねず、ライカは声を漏らした。柔らかい舌の刺激に下腹の奥が疼 く。分身がドクンと脈打っているのが分かった。ライカは拳銃を落とした。 カタンと床に拳銃があたった音がしたが、炎山のたてる淫らな音により、そ れはお互いの耳に届かない。狭いこの部屋の中では、炎山がライカの分身を 愛でる、卑猥な音と肩を動かし空気と気管を移動する熱い呼吸の音しか耳に 入らない。
 炎山の舌は先走り液をすくいとる。たっぷりと先端を焦らし、くちをはな す。はあ、と唇からこぼれるのは熱い息と唾液。
 ライカは炎山の愛撫にまぶたを閉じて、陶酔する。息は弾んでいる。
 炎山は焦らすように大きく息をつき、くちを大きく開いた。口の中にライカ を招くと、先端が炎山の頬に当たる。熱い粘膜が先端を擦り、ライカは大き く息を吐く。
 喉を大きく開き、更に奥までライカを飲み込む。分身が激しく脈打つのが くちの中で感じ取れた。口の中をライカで満たし、ぐちゅりと音をたてて舌 を動かす。

「えん……ざん……」

 ライカは喉を擦りながら乾いた声で炎山の名を呼ぶと、炎山の後頭部に手 を添えた。汗ばんだ炎山の髪は、ライカの指にへばりつく。
 ライカは髪を掴み、分身を深く押し込む。そして、そのまま腰をはじめる。 炎山はむせたようなくぐもった声をだしたけれども、ライカの動きを受けい れた。炎山のくちの中で、ライカの分身が粘着性の音をたてて、扱かれる。

「は……あっ」

 ライカは声をこぼし、炎山の頭を固定する。そして、激しく腰を突く。炎 山は眉をひそめる。
 くちの中に熱い液をぶちまける。独自の匂いが鼻をさし、炎山のくちの中 を粘らせる。くちの隙間から、唇をつたって精液が垂れる。
 炎山はそれを飲み込み、ライカの分身をキレイにするように優しく吸う。 そして、自分の唇についた精液を舌で舐めて拭う。
 がくりとライカはチカラを抜き、炎山の肩に顎をのせる。整わないライカ の呼吸がよくきこえる。

「ライカ……」

 名前を呼ぶ。だが、返事はない。炎山はライカの頭の方へ自分の頭を傾け る。熱い息が、炎山の肩を湿らせる。
 ライカの手が、炎山のそれに触れる。炎山はライカを見る。

「……欲しい。全て、欲しい」

 胸が疼いた。

「ライカ?」
「お前はオレのものだ、伊集院……」

 ライカは炎山の顎を掴む。唇を重ね、舌をいれると炎山のくちのなかは自 分ので粘り気を帯びていた。その粘り気を拭うように丹念に舌を滑らせ、吸 う。
 唇をはなし、薄気味悪く笑む。

「ずっとこの部屋で飼ってやる。ずっと、気持ちよくしてもらうぞ。性欲処 理機」

 からだが震えた。ガタガタと。
 終わりがないのか、この空間は。時間は。

「まだ終わらせない。これからが、本番だろ」

 炎山は目をつむった。
 諦めるべきか、抵抗すべきか。それとも、自分もその欲に溺れてみるか。
 耳にはベルトのバックルを外される音が聞こえ、肌にはライカに触れられ る刺激。
   続くのか。まだ。

「ライカ……っ」

 涙が自然とこぼれる。
 その涙が意味するものは。その涙が望むものは。
 炎山は酸素を吸い、吐いた。


戦争とか拳銃とか、よくわからないので適当にかいちゃいましたが……
こんなかんじなのかな^^;
鬼畜ライカっていうか、うーん。微妙でしたね;
別にダークチップなくてもよかったかな。


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