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ジャス炎ジャスミン×炎山)

あちっ


 はる香とのお菓子タイム。はる香のつくった美味しいクッキーとジャスミ ンがいれた美味しい紅茶で過ごす3時のひととき。
 お菓子の甘い匂いに紅茶の香り。ほっと息を吹きかけ、紅茶を飲む。大き な窓から日がさしこみ、ポカポカ部屋を暖める。
 そんな、のんびりした時間が大好き。そして、その時間に他愛な話をはる 香とするのが、ジャスミンの毎日の楽しみであった。

「ね、ジャスミンちゃん。ジャスミンちゃんは炎山くんが好きなのよね?」

 紅茶が気管に入りそうになる。ジャスミンはゲホゲホと苦しそうに咳き込 む。クッキーを口の中にほうりこむ。くちの中をもぐもぐさせ、うつむきな がらコクリと何度もうなずく。はる香はにっこりと微笑む。

「進展した?」

 ジャスミンは小首をかしげる。

「キスとか、した?」

 ジャスミンは激しく首を横に振る。はる香は楽しそうに笑う。
 ……そういえばしたかも。ジャスミンは思い出そうとした。が、恥ずかし くなって思い出すのをやめた。したことないということにしておこう。ジャ スミンは心の中で決めた。

「じゃあ、しましょう」
「え?ど、どヤって……」

 はる香は台所から割り箸を3膳持ってきた。一つをパキッと割り、近くに あった赤ペンで先端に丸を描いた。そして、それをジャスミンに見せた。

「王様ゲーム、知ってる?」
「いえ……よくわかりまセン……」

 にこにことはる香は王様ゲームの説明をした。まず、棒を用意し、それぞ れに番号を書く。一つだけ番号ではなく、記号やマークなどを書いて王様と する。あみだくじのアタリのようなものだ。
 その棒を番号、記号が見えないように箱などに入れ、一人ずつ一本取って いく。王様を取った人は命令をすることができる。例えば1番と2番がコン ビを組んで漫才をする、3番と1番で背比べをするなど、このように命令を 出す。絶対命令なので必ずその通りに従わなければならない。

「というわけね。で、これでいかさまをするの」
「イカさま?」
「うん。食べるイカじゃないわよ。いかさまっていうのは、なんていうのか しら。うーん。違反?裏技?あ、不正行為みたいなのかしら。つまり、仕掛 けちゃうの」
「シカける……?」
「うん。シカじゃないわよ。仕込むのよ。例えば王様だけに目印をつける、 または王様以外に目印をつけるでしょ。で、必ず炎山くんが最後にとるよう にするの。王様はジャスミンちゃんの味方の誰かが必ずひいてくれるわ。そ れで、こっそり番号、見せるのね、王様に。そして、必ずジャスミンちゃん と炎山くんがキスするように命令するの。グッドアイディアでしょう?」
「……さすがにバレちゃうと思うネ」

 残念そうにはる香は机に顔を伏せる。はあ、と長いためいきをつく。パッ と顔をあげ、目をキラキラ輝かしてジャスミンを見る。ジャスミンは食べよ うとしていたクッキーを落としそうになった。急いでくちの中に詰め込み、 もぐもぐしながらはる香を見つめる。

「お、お酒なんてどうかしら……。酔った勢いで……」

 はる香はコソコソささやく。ジャスミンは眉間にしわを寄せ、むっと唇を 突きだす。

「肝臓に悪いネ。未成年だからダメネ」

 漢方をつくる者であるジャスミンは、健康に関しては人一倍考えていた。 そのため、カラダに悪いことは絶対に反対なのである。
 はる香は苦く笑い、紅茶をひとくち飲む。

「そうよね……。ごめんね、ジャスミンちゃん」

 はる香はクッキーを一つつまみ、くちに入れると席を立った。ジャスミン は顔ごとはる香の姿を目で追った。はる香はリビングのドアを開け、廊下の 方へ行った。
 ふう。ジャスミンは息をはく。頬づえをつき、クッキーをカリッと噛む。 クッキーの粉がパラパラと机の上に落ちる。はる香が居ないからこのまま床 に落とそうか。そう思ったが、やめた。食べ終わってから片づけることにし た。
 しばらくするとドアがまた開いた。戻ってきた。ジャスミンはそう思い、 にこにこと笑顔でドアの方を向く。炎山がいた。ジャスミンは慌てて顔をそ らし、カップにくちをつけた。顔が熱くなっていくのがわかった。
 炎山はジャスミンの横に来、ジャスミンの隣りの椅子に座った。クッキー に手をのばし、そっとくちにふくむ。もぐもぐと食べ物を食べる姿が、なん だか面白い。人間だから人間味があって当たり前だろうけど、こういう人間 として当たり前の行動を見るとなんだか不思議な気持ちになる。炎山が他の 人とは違うようなオーラがあるからだろうか。
 炎山がゴクリと飲み込む。キョロキョロと机の上を見わたす。何かを探し ているようだった。ジャスミンは小首をかしげてその様子を眺めた。

「ジャスミン」

 ドキリとする。

「紅茶、オレにもいでくれないか」
「い、いいネ」

 ジャスミンは慌てて紅茶の用意をした。カップを取り出し、炎山に紅茶を いれる。炎山は紅茶を飲む。が、「あち」と言うとカップを机におき、頭を かいた。ジャスミンはそんな炎山の姿をカワイイと思った。
 はる香が戻ってきた。

「ごめんねー、ジャスミンちゃん、炎山くん。このクッキー、ちょっともら うわよ」

 そう言ってはる香はクッキーの入ったかごをひょいと取り上げた。炎山は 「あっ」と声をもらすと食べたそうにそのクッキーを見つめた。はる香はジ ャスミンにウインクすると、背を向けた。

「おやつは、そこにパンがあるからジャムでも塗って食べてね。たっぷりジ ャムを塗るのよー」

 そう言うとはる香は部屋を出た。ジャスミンは炎山を見た。炎山もジャス ミンを見た。ジャスミンは微笑すると、パンを取り出し、トースターに入れ た。
 なんとなく、今のではる香さんの考えはわかった。でも、それって……い いのかな。ジャスミンは紅茶を冷ますためにふうと息を吹きかけてる炎山を 見た。
 きっと、パンにジャムをべったべったに塗って、くちについたのをちゅっ て食べてあげればキスになるわ、なんて考えているのネ。
 いい考えかもしれないけど……いやいや、全然いい考えなんかじゃないネ! 人格疑われるネ!はる香さん、変なことばっかり考えるんダカラ……!
 チン、とパンの焼けた音がする。ジャスミンは皿を取りだし、その皿の上 にパンをおいた。
 炎山の前に片方をおき、もう片方を自分の席においた。そしてジャムを取 り出し、炎山の前においた。

「先に塗るネ」
「ああ、ありがとう」

 炎山はそういうとパンにジャムをぬった。キレイに均一に塗っていた。
 ジャムを塗り終わると炎山はジャスミンにジャムをわたす。ジャスミンは パンにたっぷりジャムを塗る。
 いただききますと言い、パンにかぶりつく。美味しい。このジャム、とっ ても美味しい。はる香さんの手作りジャムはこの世のものとは思えないほど 美味しいネ! ジャスミンは夢中になってパンを食べた。
 ふと、炎山に視線を変える。炎山が自分のことを見ていた。ジャスミンは 急に恥ずかしくなった。炎山は微笑んだ。

「くちにたくさん、ジャムがついているぞ」

 ジャスミンはびくっとし、くちもとを指で触れる。指を見ると、ジャムが べっとりついていた。ジャスミンはその指をくちに含み、炎山を見た。炎山 の頬にジャムがついていた。
 はる香さんの思惑どおりやるのは、ちょっと気がひけるけど……。ジャス ミンはそう思いつつも炎山に寄り添う。

「なんだ。事実を言ったまでだぞ」
「炎山だって、ついてるネ!ホラ」

 そういうとジャスミンは炎山の頬についたジャムに唇を寄せる。甘い。ジ ャムの味がする。キスっていうのかな、これって。顔をはなす。

「……ジャムが、つくじゃないか」

 ナンナノ、その反応。ジャスミンは予想外の反応で戸惑う。せっかくここ までしたのだし、流れに任せるか。そう思って炎山の唇に自分の唇をあてた。
 顔をはなし、手の甲でごしごしジャムを拭う。たくさんついた。近くにあ ったティッシュでそれをふき取り、ゴミ箱に捨てる。

「炎山のいじわる」
「いじわるなのは……ジャスミンだろ」

 炎山は紅茶を飲む。「あちっ」と言って慌ててくちをはなす。落ちつきが ない。

「いじわるにしたのは、炎山ネ」

 べーっと舌を出す。
 なんだか、アタシ、炎山と一緒にいると、いつもこんな感じがする。いい のかな、こんなので。……いいネ、きっと。
 ドアを明け、部屋を出ようとするとはる香さんが目をキラキラ輝かせて待 ち伏せしていた。ジャスミンはにかっと笑い、拳をはる香に見せ、親指をた てた。


キス連発になってますか、なってませんか。
伺ったシチュエーションどおりかけてないorz
毎回同じパターンでごめんなさい。
なんだかんだ言ってジャスミンは何度もキスしてると思うのですが。
イミフメイで本当にごめんなさいorz
うーん、うちのジャス炎は炎山が照れるんだよなあ。ジャスミン強気なんだよなあ。
微妙にはる香さんが裏で何かやってるんだよなあ……。
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