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なんでだ。どうしてなんだ。今日は仕事が休み。だから、わざわざ来てや
ったのに。これはおかしい。なぜ、俺が光を待たなくてはいけないのだ?
いつもは光が待ってくれるのに。どうして忙しい中、どうにか休みを手に入
れたこの日だけ、目の前でおあずけなんだ?
目の前でうんうん唸りながら問題集とにらめっこする光。
俺がしてやると言ったら「それじゃあ、宿題じゃないじゃん」なんて言って拒否しやがる。
強がっているつもりなのだろうか。つまらない意地をはるのはやめてほしい。
おかげで俺は光の部屋でボーッと宿題がおわるのを待たなくてはならない。
せっかくの休みなのに。光は俺の相手をしてくれないのか。
はあ。光を見あげながら溜息をついてみる。チラリと光がこちらをのぞく。
目があう。ニコリとほほえみ「ごめん。せっかくの休みなのに」と言ってま
た宿題にとりかかる。ああ、まったくそのとおりだ。宿題ばかり見てないで
俺の機嫌をうかががえ。あぐらをかいたヒザの上に肘をのせ、頬杖を
ついてブスッとする。ふーっと息を吐く。前髪が少しゆれる。つまらない。
「あーあ」なんて言いながら横になる。光を見あげる。どうやら宿題は全
然はかどっていないようだ。父親は科学者。けれど、その息子は勉強が苦手。
ネットバトルのセンスはばつぐんなのにな。
起きあがって部屋の中をみわたす。クッションにポスターにパソコンに本
棚にベッド。必要な物とちょっとした娯楽品。別に変わった部屋じゃない。
俺と同じ年のやつらの部屋はこんな感じなのだろう。
まだまだ時間がかかりそうだ。本当にボーッと待っておくことになりそう
だ。それでは時間がもったいない。仕方がない、疲れをとるということで寝
ておくか。俺はそう思い、光のベッドの上に仰向けに寝る。
天井を見る。低いな。まあ、当たり前か。俺は目をつむる。
「なあ、やっちゃたのはいいんだが、宿題はどうしたんだよ」
「適当にちゃちゃっとさ」
呆れて物も言えない。適当にやるなら最初から
さっさとやってしまえばよかったものの。よくも俺を待たせてくれたな。さ
あて。今日はどうしごいてやるか。俺は片方の口角をつりあげる。
「さあて。今日は何しますかね」
ニコニコと光が顔をのぞきこむ。俺もニッコリと笑みをうかべてやる。光
の顔が少しひきつる。
「たくさん食べたいな」
「適当にちゃちゃっとさ」
「たくさんな」
「……誰が作るのかなあ」
「店の者がな」
光はうつむく。ボソボソと何かをつぶやく。地獄耳だから何を言っている
のかわかるが、気にしたらかわいそうだから聞こえないフリをしてやる。
「何食べたいんだよ。まあ炎山は甘い物好きだから何も言わなくてもわかる
けどさ」
「ギャップがあっていいだろう?」
まあね、と言って光は笑う。ギャップがあっていいよ、光の方も。そう思
って俺も笑う。
炎山は甘い物大好きの大食いさんです。03とリンクしてます。
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